長田弘さんの『すべてきみに宛てた手紙』(晶文社)は,
最初からハッとすることばで始まります。
>はじまりというのは,何かをはじめること。そう考えるのが
>ほんとうは順序なのかもしれません。しかし,実際は
>ちがうと思うのです。はじまりというのは,何かをはじめる
>ということよりも,つねに何かをやめるということが,
>いつも何かのはじまりだと思えるからです。
何かをやめること・・・
諦めるということ,
捨てるということ,
忘れるということ,
いつの間にか忘れてしまうということ,
もうやらないと決心すること,
やめかたもたくさんあります。
長田さんは,「後悔することも忘れてしまった」と書いていますが,
なんてやさしいことばなのでしょう。
でも,それだけではなくて・・・
>物事のはじまりは,いつでも瓦礫のなかにあります。
>・・・やめなければならなかったこと,わすれてしまったことの,
>そのあとに,それでもそこに,なおのこるもののなかに。
手放すことが決してマイナスではないということが,
なんだか力をくれます。